実学と虚学

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Date:2013.11.25

晩秋が終わり、初冬となる。寒い中ではあるが、実学への affection は衰えるどころか、ますます燃え盛ってくる今日この頃である。図書館で考え感じていること少し報告したい。

学とは人間の知的欲求を言うものであるが、「学」に「実」を足すといかなる意味になるのか。実学は、一般的には、実用学と解されるであろう。つまり、通常は、普段の生活に役立つ学問ないし知識を言っていると解するのではなかろうか。日常生活に役立つHow to 物などが典型例として挙げられる。

確かに、生活に役立たせるために学べば、学は直接な満足へと繋がるであろう。しかし、学は、一方で真理を探究するという使命?ミッションを持っているのである。「実学」の真の意味は、ここにある。真理を探究し正義を追究する学問を「実学」という。実学は、人文科学?社会科学?自然科学などの教養科目という衣装を着ることもある。実学は、虚学ではなく、究極の真理?正義に奉仕する学問である。

とはいえ、虚学も重要である。虚学は、真理探究を主目的としていない点で、実学と異なるが、実学の応用には虚学が必要不可欠である。価値や利益と密接不可分な目的に仕える虚学は、実学の成果を応用する。しかし、虚学が公正でないと実学は悪用される。虚学である応用科学の危険性は、実学を利用する目的によりその人類貢献的な機能を損なうからである。

我々は、虚実や虚虚実々に見られるがごとく、真理を探究する本道(実学)をより強固にし、真理の応用という弱点(虚学)をも公正なものへと伸張させることを意識的に行う必要がある。

単なる dilettante (ディレッタント)にならないよう日々の生活を戒めつつ、読書と思索を進めたい。(H)

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